木炭の吸着特性評価に関する研究



木炭は内部に細孔を持っており,臭いや湿気を吸う能力を持っています.

脱臭剤や吸湿剤によく使われている活性炭は,元となる炭に細孔の量を増やす処理を行って比表面積を拡大することで,高い吸着能力も持たせています.

本研究室で行っている密閉型ガス化炉でのガス化実験では,残渣としてチャー(炭)が出ます.

ガス化炉内の条件 (水蒸気+高圧)は炭の細孔を増やす処理工程と似ているので,チャーも活性炭近い性質を持っている可能性があります.

チャーは一般に燃料として燃やされることが多いですが,高い吸着能力を持っているならば新たな用途が生まれます.


吸着とは



ある表面に液体や気体の分子が堆積し,周りより密度(濃度)が高い状態を吸着といいます.

炭の例を挙げると,臭いや水の分子が炭の表面にくっついている状態です.

吸着能力は吸着等温線を測定することで評価できます.

吸着等温線とは,ある条件のときに,どの程度吸着できるかを示した曲線です.

ここから,どのサイズの孔がどの程度あるのか(細孔径分布),質量あたりでどのくらいの表面積を持っているのか(比表面積)を知ることができます.

実験は吸着等温線測定装置を使って行います.


研究内容



アバカとはマニラ麻とも呼ばれ,葉鞘からは丈夫な繊維が取れるためロープや紙幣に利用されています.

この繊維を高圧+水蒸気の雰囲気下で炭にします.

出来上がった炭には細孔が開いていて,活性炭のように臭いや湿気を吸う(吸着する)能力を持っています.

この炭の吸着能力を吸着等温線測定装置を使って評価します.