小型シリカゲル-水吸着冷凍サイクルの開発



我々の身の回りにある冷凍サイクルといえば冷蔵庫やクーラになりますが,これらはフロンや代替フロンをコンプレッサで圧縮する蒸気圧縮式冷凍サイクルというものです.

コンプレッサのする圧縮仕事は,モータを駆動して行われるので多くの電力を消費します.

吸着冷凍サイクルは,電力消費はごく僅かで100℃程度の熱エネルギーを使って冷熱を生成するサイクルです.

フロン等も使わず,シリカゲル(乾燥剤)が水を吸着する作用を応用しています.

将来的には熱源に太陽熱を使って氷を作る装置を目指しています.


作動原理



吸着冷凍サイクルは,吸着器,蒸発器,凝縮器から構成されます.

吸着器には吸着剤(シリカゲル)が,蒸発器には冷媒(水)が入っていて,容器内は脱気されています.

まず,吸着器と蒸発器を繋ぎます.シリカゲルが水を吸着していくので,容器内の圧力が下がり,蒸発器で水の気化が促されます.

これにより,冷熱が生成されます.

シリカゲルが水を吸着するスピードは徐々に低下していき,吸着平衡になると止まります.

適切なタイミングで,凝縮器に繋ぎ替えて吸着器を加熱していくと,シリカゲルに吸着していた水が脱着して,再び吸着が行えるように再生されていきます.

脱着した水は,凝縮器で回収されて蒸発器に戻されます.

このような過程を繰り返すことで疑似連続的に冷熱が得られます.

吸着サイクルの作動原理


実験装置



装置は2器の吸着器と蒸発器,凝縮器から構成されます.

バルブ1~7を操作して,接続を切り替えます.

恒温水槽の代わりに太陽熱温水器を使うこともできます.

吸着冷凍サイクル実験装置